テニス愛好家の皆さん、こんにちは。
前回は片手バックハンドストロークについて熱く語りましたが、今回は「両手バックハンドストローク」に焦点を当てていきたいと思います。
多くのプレーヤー、特にこれからテニスを始める方や、安定感を求める方にとって、両手バックハンドは非常に魅力的な選択肢です。
両手でしっかりとラケットを持つため、力負けしにくいというのが一般的なメリットとして知られています。
しかし、そんな安定感抜群のはずの両手バックハンドでも、なぜかボールが安定しない、振り遅れてしまう、思ったようなパワーが出ないといった悩みを抱えている方は少なくありません。
その原因の多くは、実は「大振り」にあります。
今回は、両手バックハンドストロークにおける「大振り」の正体を暴き、誰でも実践できる「コンパクトで鋭いスイング」を習得する方法を徹底解説します。
今回も前回同様、まずはAIに一般的な理論を聞いてみた上で、「物理的合理性に基づいたテニス理論」で、その真偽を検証し、さらに一歩踏み込んだ上達のコツをお伝えしていきます。
初心者の方から、伸び悩んでいる中級者の方まで、これを読めば両手バックハンドの感覚が劇的に変わるはずです。
ぜひ最後までお付き合いください。
さて、今回のテーマは「両手バックハンドストロークをコンパクトにする」ことです。
まず、なぜコンパクトにする必要があるのか、そしてそもそも「大振り」とは何なのかを明確にしましょう。
AIに「両手バックハンドにおける大振りとは何か」と質問してみたところ、非常に興味深い答えが返ってきました。
AIによると、大振りとは「ショットに必要な動作を大幅に超えた、非効率で無駄の多いスイング」であると定義されています。
両手バックハンドは本来、両腕と体幹を使って打つため安定しやすいフォームなのですが、大振りになってしまうと、その最大の利点が失われてしまうのです。
AIが導き出した大振りとは

AIが挙げた大振りの具体的な特徴は三つありました。
一つ目は「テイクバック時の肘の引きすぎ」です。
両手でラケットを引く際、利き手ではない方の肘、右利きの方なら左肘を必要以上に後方に引きすぎてしまうことです。
これにより、ラケットヘッドが背中側や極端に低い位置まで移動してしまい、遠回りの原因になります。
二つ目は「大きな円運動」です。
ボールを打つまでの軌道が直線的ではなく、大きく円を描くような動きになってしまうこと。
そして三つ目は「過度な体重移動と体の開き」です。
打つ瞬間に体が開いてしまい、バランスを崩すほど回転しすぎてしまう現象です。
これらが引き起こすデメリットとして、打点の不安定化や準備の遅れ、そしてパワーロスの発生などが挙げられていました。
AIの分析は一般的によく言われていることであり、決して間違いではありません。
しかし、私の視点から見ると、これだけでは「なぜそうなってしまうのか」「どうすれば直るのか」という本質的な解決には少し物足りなさを感じます。
ここからは、私の理論である「物理的な合理性」という観点から、両手バックハンドの真実を解き明かしていきましょう。
手打ちは悪は本当?
まず、両手バックハンドの最大の利点とは何でしょうか。
それは「小さいスイングでそこそこ良いボールが打てる」という点にあります。
テニスにおいて最も強い力が発生するのは、ラケットが切り返すインパクトの瞬間です。
両手バックハンドはこの切り返しの力が使いやすいため、大振りをしてしまうことは、この最大の利点を自ら消してしまう行為に他なりません。
よく「手打ちはダメだ、体を使え」と言われます。
バケツの水をぶちまけるような動作で全身を使って打て、などという指導を耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、冷静に考えてみてください。
テニスラケットは片手でも扱える重さです。
それを両手で持つわけですから、身体にとっては「非常に軽いもの」として分類されます。
軽いものを扱う際に、身体を大きく動かす必要があるでしょうか。
例えばバドミントンを想像してみてください。
手首のスナップを効かせた「手打ち」のような打ち方のほうが、シャトルは鋭く飛びますよね。
両手バックハンドにおいても、身体の動かし方に制限をかけて議論すべきなのです。
「手打ちは悪」という論調だけが一人歩きしていますが、本当に大事なのは手打ちかどうかではなく、「物理的に合理性があるかどうか」なのです。
とはいえ、完全に手だけで打てと言っているわけではありません。
ここから具体的なフォームの解説に入ります。
まずテイクバックについてです。
テイクバックは「深く」が基本ですが、これは腕を後ろに引くことではありません。
片手バックハンドと同様に、右の上腕を外旋(がいせん)させて胸に付ける動き、これが「深いテイクバック」の正体です。
このとき、左手は脇を空けて身体の前方にセットします。
これはフォアハンドの深いテイクバックと同じ理屈です。
この体勢を作ると、打球方向に対して左のコブシは後ろ、右のコブシは前の状態になります。
ここでの最重要ポイントは、「両方のコブシは常に身体の前方にある」ということです。
AIが指摘していた「肘の引きすぎ」や「大きなループ」は、コブシが身体の横や後ろにいってしまうことで発生します。
もしコブシが身体の横にあると、スイングする際に一度身体の前に移動させてから、さらに前に動かすという「二段モーション」が必要になります。
これでは遠回りをしてしまい、振り遅れの原因になります。
最初からコブシを身体の前方にセットしておけば、打点まで一直線に最短距離で移動させることができるのです。
驚くほどのシンプルスイング
では、実際のスイングはどうすればいいのでしょうか。
答えは驚くほどシンプルです。
「左肘を上げるだけ」です。
フォアハンドストロークと同様に、肘を上げるとラケットの先端が前に加速する物理現象が起きます。
この加速時にボールをヒットすれば、驚くほどよく飛びます。
スイングの動作としては、左のコブシが右のコブシを少し先行して追い抜くだけで十分です。
腕を前に押し出そうと頑張る必要はありません。
スイング自体は一瞬の出来事であり、後はスピンをかける触り方をするか、スピードを出す触り方をするかというバランスの問題です。
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ここで、AIが指摘していた「過度な体重移動と体の開き」についても検証してみましょう。
先ほど説明したように、コブシが身体の横にいってしまうと、スイングの初動で腕が動かしにくくなります。
それを補うために身体を回して勢いをつけようとするため、結果として無駄な回転が生まれ、打点で身体が開きすぎてしまうのです。
これは逆に言えば、「身体を回さないとスイングできない打ち方」になってしまっている証拠です。
大振り判断基準
あなたが大振りをしているかどうかをチェックする簡単な方法があります。
それは「後ろ足」の動きです。ラリー中の流れで後ろ足が前に出るのは構いませんが、球出し練習などの移動を伴わない簡単なボールを打つ際にも、後ろ足が前に出ないと振りにくいと感じるなら、それはほぼ間違いなく「大振り」です。
正しいコンパクトなフォームであれば、身体の無駄な回転を使わなくても、腕の理にかなった動きだけで十分に強いボールが打てるはずなのです。
AIは改善のためのポイントとして「ユニットターン」や「肘を支点にする」ことを挙げていました。
これについても私の見解をお伝えします。
まず「ユニットターン」についてですが、AIは「体を横に向ける動作で完了させる意識を持つ」と言っています。
しかし、意識的に横向きを作ろうとすると無駄な力が入ります。
右腕を外旋させて胸に付け、左手を前方にセットするという正しい準備をすれば、無駄なことをしない限り自然とユニットターンになります。
形から入るのではなく、腕のセットアップの結果として形ができるというのが正しい順序です。
次に「肘を支点にする」という点ですが、AIは「肘を前に出すイメージ」と言っています。
これには少し注意が必要です。
「前に出す」ことを意識しすぎると、腕全体を前に押し出そうと頑張ってしまい、スイングが大きくなる可能性があります。
スイングは「肘を上げるだけ」で十分です。
上げる動作によって自然とラケットヘッドが走り、コンパクトかつパワフルなインパクトが生まれます。
そして「フォロースルー」について。
AIは「両手が肩の高さ程度に収まるように」と言っていますが、もっとシンプルに考えましょう。
スイングの本質は、左コブシが右コブシを少し追い抜く瞬間の「ラケットの切り返し」だけです。
その後は単なる惰性です。
インパクトでエネルギーの放出は終わっていますから、その後の形を無理に作ろうとする必要はありません。
コンパクトに振ろうと意識しなくても、切り返し重視のスイングになれば、結果としてフォロースルーもコンパクトに収まります。
無理に止める事も動かす事もする必要はありません。
まとめ
まとめると、両手バックハンドストロークで大振りを防ぐ為に以下を再考してみて下さい。
まず、ラケットを「軽いもの」と認識し、身体を大きく使うという思い込みを捨てること。
テイクバックでは右腕を外旋させて胸に付け、両手のコブシは常に身体の前方にキープすること。
そしてスイングは、身体を回したり腕を押し出したりするのではなく、左肘を上げてラケット先端を加速させること。
このシンプルな動作の中に、強烈なパワーと安定感を生み出す物理的な合理性が詰まっています。
テニススクールのコーチや一般の解説記事では、どうしても「身体を使え」「しっかり振れ」という指導が多くなりがちです。
しかし、プロ選手の動きをよく観察してみてください。
彼らのスイングは非常にコンパクトで効率的です。
それは彼らが筋力があるからではなく、物理的に理にかなった身体の使い方をしているからです。
皆さんも、今回紹介した理論を参考に、ご自身のバックハンドを見直してみてください。
きっと、「こんなに楽に打てるのか」という新しい発見があるはずです。
今回の記事が、皆さんのテニス上達の一助になれば幸いです。
もし、この記事を読んで「なるほど!」と思ったら、ぜひ次回の練習で試してみてください。
そして、感覚が変わった、良いボールが打てたという体験ができたら、それはあなたが「物理的に正しい動き」に近づいた証拠です。
テニスは力ではなく、理屈と感覚のスポーツです。
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