今回テーマは「効率よく練習しよう!」です。
ここで言う効率の良さとは、限られた時間や球数の中で、試合で確実に結果を出しやすくするための練習方法を指します。
テニススクールに通う皆さんも、同じ時間を使って練習するなら、上達への近道を選びたいはずです。
今回、テニスで使用頻度の高い「フォアストローク」に焦点を当て、試合で使えるショットを習得するための重要な考え方と具体的な練習法をご紹介します。
初心者の方から上級者の方まで、伸び悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
テニスの練習では技術的負荷をかけることが重要
練習の効率を上げるためのコツを一言で説明すると、練習では技術的に難しいことに挑戦し、試合では簡単なことを選択するということです。
これがテニス上達の鉄則です。
しかし、多くのアマチュアプレーヤーはこれと逆のことをしてしまっているケースがよく見受けられます。
練習ではミスをしないように相手とラリーをつなげるためにゆっくり打ち、試合になるとポイントを奪おうとして速い球を打ち込んでしまうのです。
冷静に考えてみてください。
ゆっくり打つのは技術的に簡単ですが、速い球を正確に打ち込むのは技術的に非常に難しいことです。
つまり、練習で簡単なことを行い、試合というプレッシャーのかかる場面で難しいショットを選択してしまっているのです。
これでは、練習の成果を試合で発揮するどころか、練習以上のパフォーマンスを求められることになり、自らミスを誘発してしまいます。
試合で本来の力が発揮できないのではなく、発揮しにくい練習をしてしまっているのが原因かもしれません。
本来あるべき姿は、練習でこそラケットをしっかりと振り抜き、強いボールを打つことです。
そして試合本番では、練習よりもほんの少しスピードを抑えて、安定したショットを選択します。
そうすることで、試合よりも練習の方が技術的負荷が高い状態を作り出せます。
この余裕こそが、試合での安定感を生み出すのです。
ただし、単に何でもかんでも強く打てば良いわけではありません。
すべてのボールを全力で打ってコートにねじ込むような練習は、技術的負荷は高いものの実用的とは言えません。
フォームを崩したり、適切なショット選択の能力が損なわれたりする恐れがあるからです。
速いショットを短くコントロールする打ち方
では、どのようにして実用的かつ技術的負荷の高い練習を行えばよいのでしょうか。
おすすめの練習方法は、ベースラインから打ち込む際に、相手コートのサービスライン付近にバウンドするようにコントロールすることです。
実は、速い球を深く打つことよりも、速い球を「あえて浅く」コントロールするほうが、ラケットワークやスピン量の調整が必要となり、技術的に難しいのです。
実際にやってみると分かりますが、ボールが深くなってアウトしてしまったり、浅くしようとしてスイングスピードが落ちてしまったりと、非常に苦戦するはずです。
この練習を続けると、技術的な難しさだけでなく、精神的にもきつさを感じるかもしれません。
しかし、これまでやってこなかったことだから苦しいだけであり、継続すれば必ず慣れてきます。
この「速い球を浅く打つ」という打ち方を身につけることには、計り知れない恩恵があります。
最大のメリットは、試合でのアウトミスに対する恐怖心が激減することです。
通常、私たちは相手のベースライン際深くに打とうと意識します。
しかし、深く打とうとすればするほど、ベースラインを越えてアウトになるリスクと隣り合わせになります。
このジレンマが、無意識にスイングを縮こまらせ、逆にボールが浅くなったり、チャンスボールになってしまったりする原因となります。
しかし、普段からサービスライン付近に速い球を落とすという、より難しいコントロールに慣れていれば、試合で「ベースラインまでならどこに打っても良い」「少し遠くに飛んでも大丈夫」という解放感を持ってプレーできるようになります。
ベースラインの手前に必死に収めようとする意識から、サービスラインより奥ならどこでもOKという広いターゲット意識へと変わることで、ストロークの安定感と威力は劇的に向上します。
速く短いボールを使うべき3つの実戦的状況
速く短いボールを打つ技術は、単なる練習用ドリルとしてだけでなく、試合の具体的な局面でも非常に重要になります。
ここでは、速く短く打つべき代表的な3つの状況をご紹介します。
一つ目は、ダブルスで相手ペアが2人とも前に並んでいる「2UP(ツーアップ)」の状況です。
相手がネット前にいる場合、足元に沈むボールを打ち込む技術が求められます。
この時、ゆっくりしたボールではなく、打ち込める状況であれば速いボールを相手の足元へ「ズドン」と沈めることで、相手のミスを誘ったり、甘い返球を引き出したりすることができます。
二つ目は、アプローチショットの場面です。
相手の返球が浅くなり、自分がコートの前に入って攻撃を仕掛ける状況を想像してください。
ネットに近づけば近づくほど、相手コートのベースラインまでの距離は短くなります。
つまり、自分が前に出れば出るほど、ボールを短くコントロールしてコートに収める技術が必要になるのです。
ポジショニングを上げた状態で速いアプローチショットを打ち込む際、この「速く短く打つ」感覚が必須となります。
三つ目は、ショートクロスを狙う場合です。
相手をコートの外に追い出すために角度をつけたショットを打つ際、重要なのは角度そのものよりも「短さ」です。
サイドライン際を狙うショートクロスは、ボールが長くなればなるほど角度がつかず、相手に追いつかれやすくなります。
逆に、短く落とすことができれば、それだけ角度が鋭くなり、相手にダメージを与えられます。
通常、遅いボールで角度をつけるには極上のコントロールが必要で、ミスをするリスクも高まります。
しかし、ある程度のスピードを持ったボールであれば、相手の時間を奪うことができるため、そこまでギリギリのコースを狙わなくても十分に相手を苦しめることができます。
スピードがコースの甘さをカバーしてくれるのです。
最後に:日々の練習で意識を変える
ここまで解説してきたように、速く短くコントロールする技術は、テニスの試合における多くの重要な場面で役立ちます。
それゆえに、普段の練習から意識的に取り組んでおく必要があります。
例えば、練習時間を区切って「今の時間は速く短くコントロールすることに集中する」「次は深く打って相手をベースラインに釘付けにする」といったように、テーマを持って練習に取り組んでみてください。
漫然と打つのではなく、意図を持った練習を積み重ねることで、必ず成果は現れます。
練習ではあえて難しい課題に取り組み、自分に負荷をかける。
そして試合では、練習で培った技術の範囲内で、少しだけ簡単なことを選択してプレーする。
この意識の転換と練習方法の工夫を取り入れるだけで、あなたの試合でのパフォーマンスは大きく変わります。
初心者の方も、上級者を目指す方も、ぜひこの考え方を参考にして、日々のテニスライフに取り入れてみてください。
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