皆さん、こんにちは!テニ紡(テニツム)こと、ワールドテニススクールの石井です。
いつもYouTubeチャンネルをご覧いただき、ありがとうございます! 今回のブログは、過去に公開して大反響(?)をいただいている動画、 「【テニス】片手バック素人でもこのポイントを練習すればワウリンカになれます」 について、動画内では語り尽くせなかった「技術的な裏付け」や「物理的な根拠」を交えながら、ガッツリと解説していきたいと思います。
動画を見て「なんとなくわかった!」という方も、このブログを読めば「なぜそうなるのか?」が腹落ちして、練習の質が劇的に変わるはずです。 本気で片手バックハンドを極めたい方、ぜひ最後までお付き合いください!
目次
片手バックハンドへの「憧れ」と「誤解」
まず、皆さんに質問です。 「片手バックハンド」と聞いて、誰を思い浮かべますか?
やはり、ロジャー・フェデラーの華麗な鞭のようなスイング、そしてスタン・ワウリンカの重戦車のような破壊的なボールではないでしょうか。 あの美しいフォームから繰り出される強烈なダウン・ザ・ライン…全テニスプレーヤーの憧れですよね。
しかし、現実はどうでしょう。 「あんなの、才能がある人しか打てないよ」 「筋力がないと無理でしょ」 そう思って、諦めてしまっていませんか?
実は、今回の動画の企画は、そんな「諦め」を「自信」に変えるために生まれました。 ターゲットは、私のスクールのスタッフである「たかコーチ」。 彼は普段、片手バックハンドを全く打ちません。むしろ「打てないことに誇りを持っている」と豪語するほどの、正真正銘の片手バック素人(?)です。
そんな彼を、短時間のレッスンで「ワウリンカ化」させる。 これ、決して誇張表現ではなく、正しい身体の構造と物理法則を使えば、誰にでも可能なことなんです。
今回は、私がたかコーチに伝授した「5つの極意」を、技術論をベースに深掘りしていきます。
Before:なぜ「素人」は打てないのか?
レッスンの前に、まずはたかコーチの現状を見てもらいました。 球出しのボールを打つ彼。 …うん、意外と器用なので、そこそこ打ててしまっています(笑)。
でも、いわゆる「悪い意味の手打ち」なんです。 ボールに体重が乗っておらず、スイングの軌道も不安定。 これでは、試合で相手の重いボールが来た時に弾かれてしまいますし、何より「再現性」がありません。
多くの悩める一般プレーヤーの方も、この状態ではないでしょうか? 腕の力だけでラケットを振ろうとして、結果的に大振りになり、振り遅れたり、フレームショットになったりする。
ここから脱却するためのキーワードは、「コンパクト」そして「物理」です。
極意1:すべては「握り」から始まる〜物理的な壁を作る〜
まず最初に着手したのは、基本中の基本である「グリップ(握り方)」です。
たかコーチの最初の握りは、少し薄め(コンチネンタル寄り)でした。 スライスやボレーには良いですが、ワウリンカのような厚い当たりのスピンボールを打つには、これでは物理的に不利です。
なぜ「厚め」が良いのか?
薄いグリップだと、インパクトの瞬間に手首が不安定になりやすく、ボールの衝撃に負けて面がブレてしまいます。 一方、厚く握ることで、打点において手首が背屈(甲側に折れる形)し、腕の骨格構造的に「ロック(固定)」された状態を作りやすくなります。 これにより、ボールとラケットが衝突した際のエネルギーロスを最小限に抑えることができるのです。
「まずはグリップを厚くしてみて」 私がそう伝えて打ってもらうと、一発目から打球音が変わりました。 「パンッ!」という乾いた音。 たかコーチも「お、力入りやすい!」と即答。
技術論以前に、まずは「力が伝わる形」をセットアップする。 これがワウリンカ化への第一歩です。
極意2:テイクバックは「左手」が支配する〜外旋の魔術〜
次に見直したのが「テイクバック」です。 ここが、多くのアマチュアプレーヤーが陥る最大の罠です。
「強く打ちたい!」と思うあまり、右腕(利き腕)でグイッとラケットを後ろに引いてしまっていませんか? これはNGです。
私は、テイクバックの正体は「上腕の外旋(がいせん)」によって作られると考えています。 外旋とは、二の腕を外側にねじる動作のこと。 この外旋によって、上腕が胸にピタリと着く状態を作る…これが本当の意味での「深いテイクバック」です。
動画で私がたかコーチに指示したのは、 「右手でやるんじゃなくて、左手で引く」 ということ。
- ラケットを立てる(ヘッドを上げる)
- 左脇をちょっと開ける
- 左手を使って、背中側へセットする
右手はあくまで受動的。左手が主導権を握って、右腕を正しい位置(発射台)にセットしてあげるんです。 自分で右腕を引こうとすると、過度な力みが生じたり、背中側に引きすぎて「大振り」の原因になります。
この「左手主導のテイクバック」ができると、上半身を無理に捻転させる必要がなくなります。 上腕が胸に着くほど深くセットできていれば、それだけで十分なタメが生まれ、自然と体は横向き(ユニットターン)になります。 「体を捻らなきゃ!」という意識が、かえってスイングを複雑にしているんですね。
極意3:左手の「ブレーキ」が右腕を加速させる
テイクバックが終わって、いざスイング開始。 ここで重要なのが、役割を終えたはずの「左手」の行方です。
動画を見ていただくとわかりますが、たかコーチのスイングが劇的に良くなった瞬間、私はこうアドバイスしました。 「左手はスパンと止める!」
インパクトに向かって右腕が振られていくとき、左手はその場に残す、あるいは後ろに引っ張るような動きで「急停止」させます。 動画では「ダラダラ動かず、指の形もそれっぽく(笑)」なんて冗談めかして言っていますが、これには強烈な物理的意味があります。
「運動量保存」と「作用・反作用」です。
体の一部(左手)に急ブレーキをかけることで、その運動エネルギーが行き場を失い、反対側の動いている部分(右腕・ラケット)へと転移し、加速します。 また、左手を体の近くで止めることで、体の「開き」を抑える壁ができます。 体が早く開いてしまうと、力が逃げてスライス回転がかかったり、ボールに重さが乗りません。
左手を「スパン!」と止める。 たったこれだけで、右腕は勝手に走ります。 これが、筋力に頼らずにスイングスピードを上げるコツです。
極意4:踏み込みは「クローズド」〜つっかえ棒の理論〜
ここからが、ワウリンカの真骨頂です。 下半身の使い方、「踏み込み」について。
通常、スクールでは「打つ方向(ネット方向)に踏み込んで!」と教わることが多いと思います。 しかし、ワウリンカのようなパワーを出したいなら、その常識を少し疑ってみてください。
私が動画で伝えたのは、 「踏み込みはクローズド」 そして、 「重心が前に移動しようとするのを止める」
これはブログ記事「片手バックハンドが飛ばない人へ。筋力に頼らず『楽に威力が出る』打ち方のコツ」でも紹介している「つっかえ棒」の理論です。
なぜクロス側に踏み込むのか?
真っ直ぐ前に踏み込むと、スイングが体の「前」だけで完結してしまいがちです。 しかし、少しクロス側(クローズドスタンス気味)に踏み込むことで、体の「背中側」に大きなスペースが生まれます。
人間の体は、胸側の筋肉よりも、背中側の筋肉(広背筋など)の方が圧倒的に大きく、強い力を発揮できます。 背中側にスペースを作ることで、この広背筋を使った大きなスイングが可能になるのです。
そして、踏み込んだ足で「壁」を作り、前方への移動エネルギーを「回転エネルギー」に変換します。 走っている車が急ブレーキをかけると、中の人が前に飛び出そうとしますよね? あの原理です。 体を足で急停止(つっかえ棒)させることで、ラケットヘッドだけを猛スピードで射出する。
たかコーチのスイングが、これを取り入れた途端に「手打ち」から「全身を使ったショット」に変わったのが見て取れたと思います。 「背中側に手をブンと振れるから、力が入りやすい」 彼が漏らしたこの感想こそ、片手バックハンドのパワーの源泉です。
極意5:最難関にして最強の奥義「ラケットダウン」と「回旋」
最後にして最大のポイント。 これができれば、あなたはもうワウリンカです。
動画内で私が実演し、たかコーチが一番苦戦していた動き。 「スイングの始動で、ラケット面を下に向ける」
テイクバックで立てていたラケットを、振り出す瞬間に一度、地面の方(下)へ向けます。 これは手首だけでやるのではなく、腕全体の内旋(ないせん)によって行います。
なぜ一度「下」に向けるのか?
これは「ダブルの反動」という理論です。
- テイクバックで上腕を「外旋」させる。
- スイング開始と共に、腕を「内旋」させてラケットダウンする。
- そこからインパクトに向かって、再び腕が「外旋(ねじり戻し)」される。
この「ねじって、ねじり戻す」という一連の動作(回旋運動)を使うことで、単に腕を振るよりも、ラケットヘッドは桁違いの速度で加速します。 さらに、ラケットの先端が一度「進行方向とは逆(後ろ)」に動いてから前に出てくるため、助走距離が稼げます。
動画では「下に向ける」とシンプルに表現していますが、物理的には「ラケットの重心を操作して、遠心力と重力を味方につける」高度なテクニックです。
たかコーチ、最初は面が下を向いたままボールの上を叩いてしまい、ネットに突き刺していましたね(笑)。 これは、ラケットヘッドの走りが良くなりすぎて、体がついてきていない証拠です。 しかし、何度か繰り返すうちにタイミングが合い始め…
「ズバン!!」
ものすごい音と共に、強烈なスピンがかかった「エッグボール」が飛び出しました。 「先端の走りがすごく良くなってくる」 私の言葉通り、ラケットが勝手に走る感覚を彼も掴んだ瞬間です。
劇的変化:再現性と「恐怖心」の克服
5つのポイントを統合したたかコーチのバックハンドは、最初とは別物になりました。 ここで一つ、メンタル的な側面についても触れておきたいと思います。
ブログ「フォアより簡単?片手バックハンド最大の強みは『再現性の高さ』と『振り抜き』にあり」でも書きましたが、片手バックハンドの最大の敵は「恐怖心」です。 「当たらなかったらどうしよう」「飛ばなかったらどうしよう」 その恐怖心が、無意識のスイングの縮こまり(大振りではない、悪い意味での手打ち)を生みます。
しかし、今回のような物理的に理にかなったフォーム(厚いグリップ、背中の活用、ラケットの回旋)を身につけると、「ラケットが平行移動する感覚」が得られます。 打点付近でラケット面が安定し、かつ加速している状態。 この感覚が掴めると、恐怖心が消え、自信を持って振り抜けるようになります。
動画の最後で、たかコーチがクロスへ素晴らしいボールを連発していましたが、あの時の彼はもう「当てにいっている」のではなく「振り抜いている」状態でした。 「振り遅れづらくなる」 「肘にも優しい感じがする」 これらは全て、無理な筋力ではなく、物理法則に従った結果です。
まとめ:才能ではなく「知識」でテニスは変わる
いかがでしたでしょうか。 今回は、私のYouTube動画を自ら深掘り解説してみました。
この企画で証明したかったこと。 それは、「ワウリンカのような片手バックハンドは、選ばれた天才だけのものではない」ということです。
必要なのは、強靭な肉体ではありません。 正しい身体の使い方を知る「知識」と、それを実践するための少しの「コツ」です。
1.グリップを厚くし、手首をロックする。
2.左手主導でテイクバックし、外旋を作る。
3.左手でブレーキをかけ、右腕を加速させる。
4.背中側に踏み込み、つっかえ棒でパワーを生む。
5.ラケット面を下に向ける動きで、回旋の爆発力を引き出す。
この5つを意識するだけで、あなたのバックハンドは劇的に変わります。 「感覚」で悩むのはもう終わりにしましょう。 テニスは物理です。理屈がわかれば、必ず上達します。
もちろん、動画を見て、このブログを読んだだけで完璧にできるほど甘くはないかもしれません。 タイミングの取り方や、個々の骨格に合わせた微調整は必要です。 もし「やってみたけど、ここがうまくいかない…」という方がいれば、ぜひワールドテニススクールへ遊びに来てください! 私、石井や、今回覚醒したたかコーチが、あなたの「ワウリンカ化」を全力でサポートします。
道具がなくても気軽に始められますし、体験レッスンも随時受け付けています。 「ブログ読みました!」「動画見ました!」と言っていただければ、さらに熱が入っちゃうかもしれません(笑)。
今回の動画、まだ見ていない方はぜひチェックしてみてください。 きっと、コートに行きたくてウズウズしてくるはずです。
それでは、また次回の動画やブログでお会いしましょう。 テニ紡でした!
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