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テニス上達の秘訣!ドロップボレーを極める「切り返し動作」のコントロール法

テニスブログ

2025.12.24

テニスの試合中、相手の意表を突いてネット際にポトリと落とす「ドロップボレー」。
決まればこれほど気持ちの良いショットはありませんが、実際に打とうとすると力が入りすぎて長くなってしまったり、ネットにかけてしまったりと、非常に繊細なコントロールが求められる難しいショットでもあります。

今回は、ドロップボレーを成功させるための核心的なテクニックについて詳しく解説していきます。

特に重要なキーワードは「切り返し動作」です。
通常のボレーで威力あるボールを打つために必須とされるこの動きが、実はドロップボレーにおいては最大の敵となるのです。

このメカニズムを理解し、体の使い方を少し変えるだけで、あなたのドロップボレーは見違えるほど上達するはずです。

なぜドロップボレーは難しいのか?

テニスプレーヤーなら誰しも、ネットプレーでの繊細なタッチに憧れるものです。
特にドロップボレーは、ベースライン深くで構えている相手を前に走らせ、体勢を崩させたり、そのままポイントを奪ったりできる強力な武器です。

しかし、いざ試合で使おうとすると、思ったより飛んでしまったり、ネットを超えなかったりというミスが頻発します。
なぜでしょうか。それは、私たちが普段練習している「良いボレー」の打ち方が、ドロップボレーには適していない要素を含んでいるからです。

普段の練習では、しっかりと相手コートの深くに突き刺さるような、伸びのあるボレーを目指しています。
そのために身につけた体の使い方が、皮肉にも「飛ばさない」ことが求められるドロップボレーの邪魔をしてしまうのです。
この矛盾を解消し、脳内のスイッチを切り替えることが、ドロップボレー習得への第一歩となります。

通常のボレーとドロップボレーの決定的な違い

最も重要なポイントは、ボレーにおけるラケットワークの違い、具体的には「切り返し動作」の有無です。

通常のボレー、つまり相手コートの深くにしっかりと打ちたいボレーでは、ラケットをセット(テイクバック)した後、ボールに向かって踏み込んでいく際に、ラケットヘッドがわずかに遅れて出てくる動きが発生します。
これが「切り返し動作」となります。

例えばバックボレーを想像してください。
ラケットをセットし、インパクトに向けて腕を動かし始めると、ラケットの先端であるヘッドは慣性によって一瞬その場に留まろうとします。
その結果、ラケット面が背中側へわずかに引かれるような形になり、そこから鞭のようにしなって出てくることでボールにパワーが伝わります。

フォアボレーでも同様です。
テイクバックから振り出す際、ラケットヘッドが一瞬後ろに残る「遅れ」が生じることで、ラケットが加速し、パンッという小気味よい音とともに勢いのあるボールが飛んでいくのです。
この動作は、上級者であればあるほど、腕力に頼らず脱力して打つことで無意識に行われています。
ラケット面の向きが自然と切り替わるこの動きこそが、伸びのあるボレーを生み出す正体です。

しかし、ドロップボレーの目的はボールを飛ばさないことです。
通常のボレーで有効な「切り返し動作」を使ってしまうと、ラケットが加速し、反発力が強くなってしまうため、ボールは勢いよく飛んでいってしまいます。
これでは短く落とすことは不可能です。

つまり、ドロップボレーを成功させるための最大のコツは、この「切り返し動作」を意図的に無くすことにあります。
飛ばすために有効な動作を、飛ばしたくないから無くすという極めてシンプルな理屈です。
しかし、長年の練習で染み付いた「ラケットヘッドを走らせる感覚」を封印するのは、頭で理解していても体現するのは容易ではありません。

実践!切り返しを無くすドロップボレーの打ち方

では、具体的にどのように打てばよいのでしょうか。
フォアハンド、バックハンドそれぞれの視点から、その動作を紐解いていきます。

基本的な構え(セット)は、通常のアングルボレーや通常のボレーと全く同じで構いません。
相手にドロップを打つぞと悟られないためにも、テイクバックまでは同じフォームであることが重要です。
違いが出るのは、そこからインパクトまでの動きです。

まずバックハンドボレーの場合ですが、通常のボレーでは振り出しの瞬間にラケットヘッドが背中側に一度引かれるような動きが入るところを、ドロップボレーではこれを阻止します。
セットした位置から、ラケット面を変えずに、そのままボールの後ろに持っていくイメージです。
手首を使ってヘッドを操作したり、腕を鞭のように使ったりしてはいけません。
セットした形のまま、ブロックのように面を運びます。

フォアハンドボレーの場合も同様です。
セットした位置から、ラケットヘッドが遅れることなく、手とラケットが一体となってボールに向かう感覚が必要です。

この技術の難しい点は、通常のボレーにおける切り返し動作が無意識で行われていることが多いという点です。
よし、切り返しを使って打つぞと意識して打っている人は少なく、スムーズにスイングすれば勝手に発生してしまうのが切り返し動作です。
ドロップボレーを打つ時は、この無意識の反射を抑え込み、意識的に「ラケットヘッドを固定する(遅らせない)」という操作が必要になります。
手首を固めるというよりは、ラケットの重さに負けてヘッドが落ちたり遅れたりしないように、手首の角度(コック)を維持したまま、腕全体でゆっくりと運ぶ感覚に近いでしょう。

ボールコントロールの極意:軌道と打点の関係

切り返し動作を抑えることでボールの飛びを抑える準備はできました。
次は、ボールをどのようにコントロールして短く落とすか、その軌道のイメージについてです。

ドロップボレーというと、ボールを止めるイメージを持つ人が多いかもしれませんが、ボールが上に抜けるように打ちます。
ラケット面を少し上向きに入れ、ボールの下をくぐらせるようにスイングを上に逃がします。
こうすることで、ボールに逆回転(アンダースピン)がかかり、山なりの軌道を描いてネットを超えた直後に急激に落下し、バウンド後も弾まないボールになります。
もし、ボールを真っ直ぐ飛ばすイメージで打ってしまうと、ネットを超えるための高さが確保できなかったり、勢いが殺しきれずに奥まで飛んでしまったりします。

どのくらい上に抜くのかという加減については、数打って感覚を掴むしかありません。

また、アングルボレーとドロップボレーは似ていますが、求められる飛距離が異なります。
アングルボレーは角度をつければ多少飛距離が出てもコート内に収まりますし、むしろある程度スピードがあった方が相手を追い出すことができます。
したがって、真っ直ぐ飛ばすイメージでも打つことができます。
対してドロップボレーは飛距離を極端に短くしなければなりません。
真っ直ぐ飛ばしながら短くコントロールするのは至難の業です。このため、ドロップボレーではアングルボレー以上に「ボールを上に抜く」スイングでボールの勢いを殺し、距離を調整する必要があるのです。

そして、ドロップボレーは低い打点の方が短くコントロールするのに適してます。
低い打点のボールを処理する場合、物理的にネットを超えるためにボールを上に打ち上げる必要があります。
この「下から上へ」というボールの軌道が、先ほど述べた「ボールを上に抜く」動作と自然にマッチすします。
逆に高い打点からドロップを打とうとすると、出発点が高いのでこれ以上高くしないようにしようとして「ボールを上に抜く」がやりにくくなります。
その結果「前」に打ってしまい球足が長くなりがちです。
低い打点から、ボールの下をすくい上げるようにして、ふわっとネットの向こうに落とす。
これが最も安全で効果的なドロップボレーの打ち方と言えるでしょう。

スイングスピードと回転のかけ方

最後に、スイングのスピードと回転について解説します。

通常のボレーではインパクトに向けてスイングを加速させますが、ドロップボレーではゆっくり動かすことが大切です。
速くラケットを動かそうとすると、どうしても反動を使った動きになりがちで、無意識のうちに切り返し動作が入ってしまいます。
これでは本末転倒です。
ゆっくりとした動作であれば、ラケット面の向きや手首の角度を維持しやすく、繊細なタッチが可能になります。

ゆっくり振ると回転がかからないのではと思うかもしれませんが、回転をかけるために必要なのはスイングスピードだけではありません。
ラケットの入れ方が重要です。
ボールに対して少し上からラケットを入れ、そのままほんの少し下に抜いていく。
動作は小さくてもアンダースピンがかかる触り方が出来れば十分です。
スイングがゆっくりでも十分なアンダースピンがかかります。
素早くシュッと切るのではなく、ボールの重みを感じながら運ぶように回転をかける。
これができれば、死んだようなボールがネット際にポトリと落ちるようになります。

まとめ:相手を翻弄するタッチを身につけよう

今回の解説をまとめると、ドロップボレー成功の鍵は三つのポイントに集約されます。
第一に、ラケットヘッドが遅れて出てくる「切り返し動作」を封印し、セットした形のままボールへ向かうこと。
第二に、真っ直ぐ当てずにボールの下を通して上にスイングを抜くことで飛距離を抑えること。
そして第三に、速く振らず、低い打点から優しく運ぶようにゆっくり丁寧なスイングをすることです。

ドロップボレーは、パワーやスピードで圧倒するショットとは対極にある、いわば「引き算」のショットです。
普段の「飛ばすための動き」をいかに抑制し、ラケット面だけの仕事でボールを操れるかが勝負の分かれ目となります。
この感覚を掴むには、ミニテニスなどのショートラリーで、ラケットを大きく振らずに面だけでボールをコントロールする練習が有効でしょう。

試合の重要な局面、相手がベースライン深くで守りを固めている時、このドロップボレーが決まれば、相手への精神的ダメージは計り知れません。
「パワーだけじゃない」という余裕を見せつけるためにも、ぜひこの「切り返し動作を無くす」感覚を練習して、あなたのプレーの引き出しを一つ増やしてみてください。

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