こんにちは!
ダブルスの試合に出ていると、誰もが一度はぶつかる大きな壁がありますよね。そう、「2UP(ツーアップ・並行陣)対 雁行陣」の戦い方です。 「ボレーには少し自信があるから、とにかく前に出てネットプレーに持ち込むぞ!」というストロングスタイルで挑むのも、もちろん一つのテニスです。相手が先に2UPの陣形を作ってしまうとポイントが取れないから、とにかく先手必勝で前に出る、という方も多いでしょう。
しかし、勢いだけで前に出ても、相手の強烈なストロークを足元に沈められたり、見事なロブで頭上を抜かれたりして、「2UPを作ったのに全然ポイントが取れない……」と落ち込んでしまうことはありませんか?
実は、ダブルスで勝つためには、感覚や勢いだけでなく、「なぜそのプレーを選択するのか」というしっかりとしたロジックが必要です。ロジックを理解してプレーを組み立てることで、あなたのテニスは劇的に進化します。
そこで今回の記事では、テニスのダブルスにおいて、2UP側が雁行陣に対してどのように攻めるべきか、「王道の2UP戦術」を徹底的に、解説していきます。 この記事を最後まで読んでいただければ、2UPでの「勝ち方」の道筋がくっきりと見え、明日からの練習での「上達」のスピードが格段に上がるはずです。
目次
第1章:なぜダブルスで2UP(並行陣)になるのか?
前に出る目的を明確にしよう
まずは、根本的な問いから始めましょう。 「なぜ、あなたは2UPの陣形を作るのですか?」
「ダブルスの基本だから」「コーチに前に出ろと言われたから」……もしそんな理由で前に出ているとしたら、少しもったいないです。 2UPになる最大の理由、それは「攻撃をするため」です。
雁行陣(一人が前、一人が後ろ)は、守備と攻撃のバランスが取れた陣形ですが、2UP(二人とも前)は、相手の時間を奪い、プレッシャーをかけ、ポイントを奪いに行くための超攻撃的な陣形なのです。
つまり、2UPになった状態というのは、「いつでも攻めることができる状態」を作りたいからこそ選択する陣形です。 このロジックから導き出される、2UPの絶対的な目標は何か? それは、「1stボレーで決めきる」ということです。
前に出たのに、ただダラダラとボレーでつないでいるだけでは、2UPのメリットである「攻撃性」を活かせていません。相手に考える時間を与えてしまい、最終的には足元を狙われたりロブを上げられたりして逆襲されてしまいます。
もちろん、実際の試合で毎回毎回1stボレーで華麗に決めきれるわけではありません。相手も必死に返してきます。 しかし、「目的は1stボレーで決めることだ」と自分の中で明確にしておくのと、ただ漠然とボレーを返すのとでは、ポジションの取り方やボールへの執着心が全く変わってきます。
まずはこの大前提、「2UPは攻撃するため」「目標は1stボレーで決めること」をしっかりと胸に刻んでください。
▼2UPの考え方については、こちらのリンクも参考にしてください。
第2章:相手の強打を封じる!
ボレーの成功率を上げる為にアプローチ段階でやるべき事
さて、「1stボレーで決める」という目標が明確になりました。では、どうすれば1stボレーで決めやすい状況を作れるのでしょうか? いきなりネットに張り付いて、相手の強打を神がかり的な反射神経でボレーする……というのは、映画やアニメの世界の話。現実のテニスではリスクが高すぎます。
ここで重要になるのが、ボレーの「前段階」であるアプローチショット等の考え方です。
相手のストライクゾーンを外す配球の意味とは?
雁行陣の後衛(ストローカー)に対して、何となくアプローチショットを打ってる時ないですか?相手が気持ちよく打てる「ストライクゾーン」にボールが行ってしまえば、強烈なパッシングショットや沈むボールが飛んできます。
相手に強打させないためには、「相手のストライクゾーンを外した返球をする」ことが必須条件です。 高い打点、極端に低い打点、あるいは体をのけぞらせるような深いボール、外に逃げるスライスなど、相手が「打ちにくい!」と感じるボールを配球します。
アプローチ等のボレーの前段階で相手を苦しめることで、相手からの返球は甘くなります。その甘い球を引き出すからこそ、「1stボレーで攻めが可能(=決めきれる)な状況」を作ることができるのです。
相手の球威とボールの反発力の関係
ここで、もう一つ物理的なお話しをします。 「相手の球威が速いと、ボレーの難易度は上がる」という事実です。
なぜ難易度が上がるのでしょうか?それは、ラケットとボールがぶつかる際の「反発力」が高くなるからです。 速いボールに対しては、少しでもラケット面がブレたり、当たるタイミングがずれたりすると、ボールはコントロールを失ってアウトやネットをしてしまいます。また、ボールの威力を吸収するための繊細なタッチも要求されます。
つまり、相手に気持ちよく強打されてしまうと、こちらのボレーのコントロール難易度が上がり、1stボレーで決めるどころか、ミスの原因になるのです。
「練習」と「試合」の目的は全く違う
この事実を踏まえると、テニスの「上達」において、練習と試合ではプレーの目的を変えるべきだということです。
【練習でのロジック】 練習では、自分の技術力を上げるために、あえて「技術的負荷を上げる」ことが重要です。相手に強打してもらい、その速くて重いボールを正確にコントロールするボレー練習を繰り返します。「相手の球威が速くても、どこにでもどんなボレーも打てる」ようになるための土台作りです。
【試合でのロジック】 しかし、本番の試合では違います。試合の目的は「勝つこと」です。勝つためにはミス(リスク)を減らさなければなりません。したがって、試合では「技術的負荷が下がるようにプレーする」のが正解です。 つまり、相手に強打させない(=反発力によるコントロールミスのリスクを減らす)ための配球を徹底し、自分が簡単にボレーできる状況を自ら作り出すのです。
この「練習と試合の負荷の考え方」を理解しているプレイヤーは、試合で安定したプレーができます。
▼ボレーの効率的な練習方法や負荷の考え方については、こちらのリンクを参照してください。
第3章:攻撃の要!
ダブルスにおける1stボレーの成功率を上げる選択肢
第2章のロジックに従い、見事なアプローチショットで相手を崩すことができました。相手からの返球は勢いがなく、少し浮いて飛んできました。 さあ、いよいよ待ちに待った1stボレーの瞬間です!
ここからの展開も、決して感覚任せにしてはいけません。状況に応じた最適なロジックを選択しましょう。
パターンA:1stボレーで決めきれる絶好のチャンスの場合
アプローチ等の攻撃が完璧に決まり、こちらが完全に「攻めることができる返球(チャンスボール)」が来たとします。 この時は非常にシンプルです。第1章で確認した通り、「1stボレーで決めきる」こと。
具体的には、ストレート(相手の前衛の横)や、センター(相手ペアの真ん中)に力強く打ち込んで一発で仕留めます。 ここは躊躇してはいけません。チャンスで甘いボレーを打ってしまうと、相手に息を吹き返す隙を与えてしまいます。「ここぞ!」という場面では、勇気を持って決定打を放ちましょう。
▼詳しくはこちらのリンクも参照してください。
パターンB:アプローチ等が甘く、ボレーで決めきるまではいかない場合
しかし、いくらアプローチが良くても、相手がなんとか低く足元に返してきて、「一発で決めるのはちょっと厳しいな」という状況も多々あります。 ここで無理に強打してミスというのは、最も避けるべき愚策です。
では、決めきれない場合はどうなるのか? それは、「相手の後衛が、もう一度苦しむようなボレーを打つ」ということです。 一発で決まらないなら、二発目、三発目で決めるための「布石」を打つのです。
ここで大事なのは「軌道を低くコントロールする」こと。 ボレーにおいて、スピードよりもパワーよりも大切なのが、「低さ」です。
なぜ低いボレーが有効なのか。 テニスのネットの高さは約1メートル(センターで91.4cm)あります。相手の足元に低く鋭くボレーをコントロールできれば、相手はボールを「すくい上げる(下から上へ打つ)」しかなくなります。 下から上に打たれたボールは、どうしても山なりの軌道になり、浮きやすくなりますよね。
また、低い軌道のボールは単純に滞空時間が短くなります。ボレーと言うだけでも相手の時間を奪いやすいですが、滞空時間を短くすればより一層相手の時間を奪えます。相手から余裕を奪えば足元へのコントロールにミスを誘いやすくなります。
つまり、低く鋭いボレーを後衛に打つ狙いは、「相手の次回の返球を浮かせる(チャンスボールを作らせる)こと」なのです。 相手の返球が浮けば、次こそは「パターンA」の決めきれるボレーに繋がります。このステップを踏むことで、2UPの攻撃力は確実なものになります。
▼フォアボレー、バックボレーの基本技術は、以下のリンクで詳しく説明しております。
第4章:ストローク巧者を崩す戦術!
アングルボレーという魔法
さて、ここまで「アプローチで崩し、ボレーで決める(または低く集める)」という王道のロジックをお話ししてきました。 しかし、ダブルスの大会を勝ち上がっていくと、この王道パターンが通用しない厄介な相手に遭遇することがあります。
それは、「ストローク力が異常に高い後衛(ストローカー)」です。
深いボレーが通用しない相手の存在
こちらがアプローチで攻めて2UPの陣形を作ると、相手の選択肢は基本的に「ボレーヤーの足元に沈める」か「ロブで頭上を抜く」かの二択になります。 それに対して、こちらがボレーを打つ際、鋭いボールが打てない厳しい体勢の時は、「ゆっくりでもいいから深く返球する」というのが、テニスの王道セオリーの一つです。
しかし、こちらが攻めたアプローチや、セオリー通りに深く打ったボレーに対して、涼しい顔で強烈なボールを足元にコントロールしてくる相手がいます。 このような相手には、単に「深いだけのボレー」は通用しません。なぜなら、相手はベースライン付近でのストロークに絶対の自信を持っている「ストローク巧者」だからです。
相手の「練習量」の盲点を突くボレーのコース
では、ストローク力が高い相手に対して、2UP側はどのようにお手上げ状態を打開すればいいのでしょうか? 相手の弱点を推測してみましょう。
テニスプレイヤーの練習メニューを思い浮かべてみてください。 ストロークの練習をする時、ほとんどの人は「ベースライン上(またはその後ろ)」に立って、飛んでくるボールを打ち返す練習をしますよね。ラリー練習、球出し練習、その大半がベースライン付近で行われます。 つまり、「ベースライン付近での深いボールの処理」は、彼らが最も多く練習している、最も得意なシチュエーションなのです。
では、逆に彼らが「あまり練習していないシチュエーション」はどこでしょうか? それは、「短く、コートの外側に逃げていくような浅いボールの処理」です。
ここに、ストローク巧者を崩すためのヒントがあります。 深いボールが得意な相手には、選択肢の一つとして「アングルボレー(角度をつけた短いボレー)」が有効になる可能性があります。

なぜアングルボレーがストローク巧者に効くのか?
ベースラインでの練習量がどれだけ豊富でも、サービスラインより前、しかもサイドラインの外側に逃げていくような短いボールを打つ練習をひたすらやっている人は稀です。 さらに、技術的な観点から見ても、短く低いボールに対して、力強いストロークでスピンをかけて打ち返すのは、非常に難易度が高い作業です。ラケットを振り抜くスペースが狭く、ネットまでの距離も近いため、どうしてもボールを「乗せて運ぶ」ような甘い返球になりがちです。
つまり、相手の土俵(深い位置)で勝負するのではなく、相手が不慣れな土俵(浅く角度のある位置)に引きずり出すことで、ストローク巧者のリズムを狂わせることができるのです。これが、アングルボレーが打開策になる可能性が高い理由です。
▼低く短いボールのストローク打ち方解説
アングルが深い球を活かし、深い球がアングルを活かす(配球の組み立て)
アングルボレーの素晴らしいところは、単独でポイントが取れることだけではありません。 アングルボレーという「短い・角度のある」選択肢を相手に見せつけることで、相手の頭の中には「次も前(浅いところ)に落とされるかもしれない」という警戒心が生まれます。
すると、相手のポジションは無意識のうちに少し前寄りになり、重心も前のめりになります。 その心理状態を作り出した上で、今度は王道の「深いボレー」を打ってみてください。相手は慌てて後ろに下がりながら打つことになり、深い球の効果が劇的に上がります。
奇をてらったトリッキーなプレーばかりをする必要はありません。奇をてらわない王道のプレースメント(深いボール)を、より効果的に、より凶悪にするためのスパイス、それがアングルショットなのです。 この「前後・左右の揺さぶり」をマスターすれば、強い2UPになれます。
▼試合を有利に進めるアングルショットの打ち方やコツについては、こちらを参考にしてください。
第5章:2UPで仕掛けたなら即決着!
オープンコートを見逃さないポジショニング
いよいよ最終局面です。 第4章で解説した通り、アングルボレーで相手をコートの外に追い出し、見事に仕掛けが成功したとしましょう。相手は体勢を崩しながら、なんとかボールを返球してきました。
ここで絶対に忘れてはならない鉄則があります。 それは、「ボレーで仕掛けた(相手を崩した)なら、即決める」ということです。
なぜダブルスでは「早めに決めきる」必要があるのか?
せっかく相手を崩したのに、「もっと確実なチャンスが来るまで、ゆっくり安全に繋いでおこう」と考えるのは、一見手堅いように見えて実は大きな間違いです。
テニスにおいて、ボールがネットを行き来する回数(ラリーの回数)が増えれば増えるほど、「自分たちがミスをするリスク」も比例して増大します。 風の影響、コートのイレギュラー、ガットの当たり所……不確定要素は常に存在します。せっかく自分たちが優位な状況を作ったのに、時間をかければかけるほど、相手に陣形を立て直す隙を与え、逆に自分たちがミスで自滅するリスクを抱え込むことになります。
したがって、「仕掛けたなら、早めに決めきらないとリスクが多くなる」という事をペア間で共有し、チャンスが来たら即座にポイントを終わらせるメンタルが必要です。
ボレーのポジションの最適化とオープンコートの予測
では、アングルボレーで仕掛けた後、具体的にどのようにして「即決める」のでしょうか? ここで重要になるのが、「ポジションの最適化」と「オープンコートの予測」です。
あなたがアングルボレーを打ち、相手後衛がコートのサイドラインよりも外側に走らされたと仮定します。この瞬間、あなたたち2UPペアのポジションは、以下のように最適化(移動)しなければなりません。
前衛の役割:相手が苦し紛れに打ってくるストレート(ダウン・ザ・ライン)のパッシングショットを完全にケア(封鎖)します。ここに打たれたら一発で終わりなので、しっかり塞ぎます。
後衛(ボレーを打った本人)の役割:前衛がストレートを塞いだ分、センターへの返球をしっかりカバーします。

このようにポジションをシフトすることで、相手の苦し紛れの返球(チャンスボール)を逃さずボレーできる態勢が整います。
相手の心理を読んで「逆サイド」を突く!
相手がコート外に追い出されたということは、当然、相手のコートに「オープンコート(誰もいない空間)」が生まれます。
具体的には、相手後衛が外に出たことで、まず「センター」が空き(オープンコート)になります。

しかし、相手ペアも「センターが空いてしまった!」と瞬時に理解し、相手の前衛(または必死に戻る後衛)が、空いたセンターをカバーしようと中央に寄ってくることが非常に多いのです。

相手がセンターをカバーするために動く。するとどうなるか? 今度は「逆サイドのアングル(相手前衛が元いた場所の奥など)」に、オープンコートが生まれるのです。

ここまでの相手の動きを「予測」できているかが、勝負の分かれ目です。 相手からの浮いたチャンスボールが飛んできた瞬間、「相手のポジションがどう変わったか」を瞬時に把握し、そこにできたオープンコート(センター、あるいは逆サイドのアングル)に冷静にボレーを打ち込みます。
これこそが、ロジックに基づいた完璧な「2UPのフィニッシュ」です。勢いでも偶然でもなく、完全に計算し尽くされた勝利の方程式と言えるでしょう。
▼ボレー上達の総合的な解説 ボレーの技術力向上(世界テニススクール)
まとめ:2UPの戦術ロジックを知れば、ダブルスはもっと面白くなる!
いかがだったでしょうか? 「2UP対雁行陣」における、2UP側の王道の攻め方を、解説してきました。ここで一度おさらいしておきましょう。
- 【目的の設定】:2UPは攻撃の陣形。目標は「1stボレーで決めきる」こと。
- 【アプローチのロジック】:強打を避けるため、相手のストライクゾーンを外す。試合では技術的負荷を下げてリスクを減らす。
- 【1stボレーの選択】:チャンスならストレートかセンターに打ち込む。決めきれない時は「低く」コントロールし、相手の返球を浮かせる布石を打つ。
- 【アングルの魔法】:深い球が得意なストローク巧者には、彼らが練習していない「短く外に逃げるアングルボレー」で陣形を崩す。これにより深い球も活きる。
- 【即決着のロジック】:仕掛けたらミスが増える前に早めに決める。ポジションを最適化し、相手が動いてできた「オープンコート(センターや逆アングル)」を瞬時に突く。
テニスは、体力や反射神経のスポーツであると同時に、チェスや将棋のような「陣取りゲーム」であり「確率のゲーム」でもあります。 「なんとなくボレーを打つ」のをやめて、「なぜここに打つのか」「打った後、相手はどう動くのか」という事を一つ一つ意識するだけで、あなたのダブルスは見違えるように上達するはずです。
「この通りに動けばポイントが取れる!」という確固たる自信(勝ち方)を持てば、試合中のプレッシャーも激減し、よりリラックスして、より親しみやすい笑顔でペアとプレーを楽しむことができるでしょう。
次回の練習から、ぜひこの「王道の2UPロジック」を試してみてくださいね。 あなたのボレーが、そしてダブルスが劇的に進化することを応援しています!
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